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今、俺は千歳の"了承"の元、水族館を回ってる最中だ。 しかし…まぁこの水族館はホントに広い。恐らく、あのままイルカを見ていたら回りきるのは不可能だっただろうと思う。 俺は途中までは結構楽しんで見ていたんだが、だんだんと千歳の事が心配になり始め、途中で元居た場所に戻る事にした。 「あれ…?いない…」 千歳の姿が見当たらない。流石に水族館から出た訳では無いと思うが… とにかく俺は捜す事にした。 さっき見たショーや他にイルカがいそうな所、いろいろと捜し回り… 「はぁはぁ………いた…」 ようやく見つけた 「……………(泣)」 千歳は俺に走り寄ると、俺に紙を手渡した 『気付いたら居なくて…置いてかれたって思って…パニックになって…』 「確か…ちゃんと水族館を見て回るからって言ったんですけど…」 「……………?」 「やっぱり伝わって無かったのか…」 「………………」 (なんか…すっごく目が潤んでるんですけど…こうなったら秘密兵器を出すしか…) 俺はポケットからある物を出した。 「……………!」 別に大したものじゃない。千歳はイルカが好きらしいから、可愛いような感じのイルカのストラップを買ってきただけ。 「…あ…り…が…と…」 (ありがと、か…なんか俺も唇を読むのが随分と上手くなってきたな) 「そんな喜んで貰えると、買ってきたかいがあったってもんだよ」 「………♪」 小さな鈴が付いてるイルカのストラップを鞄に付ける。 って、かばん…?俺は気になった事を聞く。 「千歳、携帯は?」 ぶんぶん… 千歳は首を横に振る (今、この時代に携帯を持ってないやつがいるとは…) なんとなく理由を聞くのは止めた。 俺たちは、また少し水族館を見て回ってから帰る事にした。 千歳の鞄に付いてる鈴が、歩く度にほどよい高音を鳴らし、その度に、なんだか千歳は嬉しそうな顔をしているようだった。 (よほどストラップを気に入ってくれたのかな?) この時はまだ、俺はそんな風に思っていた。
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