-Understand-

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千歳と別れて数10分後、俺はようやく家に着いた。 家のドアを開けるなり、「遅いじゃん!どこ行ってたのー?」と言う妹の声が響いた。 それは俺に向けられる久しぶりな声だった。が…妹は論外。第一声の後、散々質問を飛ばされ、ホントうるさい限りだったのだ。 俺はさっさと、晩飯を食い終わり、自分の部屋に戻る。一緒に入ろうとする妹を半ば力ずくで止めながら。 「ぶーぶー」 妹はご立腹のようだ。ま、知らんがな。 俺はこんな事より考えなければいけない事がある。いや、俺は後悔していたんだろう。 何を後悔したかって?それは昨日の事だ。 渡辺の手話の話題、それを聞いちまった俺はバカ正直に帰りに図書館に寄り、手話の事をちょっと勉強したのだ。 ま、途中で飽きたからほとんど上達せずに終わった。無論手話で話すなど無謀な話である。しかし、いくつか覚えた物もあった。まぁ男性陣がなんとなく気になるようなワードばかりだが… とにかく話は長くなったが、要するに千歳が最後にやった手話は、幸か不幸か俺の知ってるものだったって訳だ。 では、いったいどういう意味だったのか。恐らく…俺の見間違いや覚え間違いでなければ… 「好き」 だったと思う。 あの状況でストラップの話題では無かったし、好みとかでも無いだろう。第一それは俺に向けられたものである。 すなわち、 俺は千歳に告白されたわけだ。 しかも千歳は俺が分かってる事を気付いていない。 さてどうするべきか… 向こうから好きになってもらった事なんて一度も無い。しかもこんな状況。俺はかなり混乱中である。 (とにかく寝よっと…) 話の展開が早すぎて、どうすればいいか分からなくなった俺は寝る事にした。 ヘタレなんて思うなよ?俺はこういうキャラなのだ。
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