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淡々とした授業…。
今日の千歳は、いつもと違う気がしていた俺だが、
ちくっ
……やっぱり授業中は眠らしてくれないらしい…
唯一違うところと言えば、振り向いても何も言わず、先生の話を聞いてる所である。
だからと言って寝ようとすると、容赦ない攻撃を浴びることになり、この無反応な攻撃に悪戦苦闘中である。
そして時間は過ぎ、
やっとこ授業も終わり、俺は振り向くと、色んな意味を視線に込めて睨んでみた。
「………………」
目を合わそうとせず、千歳は俺のネクタイ辺りを見ている。なので俺は
「何かいいたい事は?」
と、ちょっときつめに言ってみた。すると千歳はおもむろに紙を出し、何かを書いて俺に渡す。
俺は、俺のキャラでは処理しきれなそうな事が書いてあったらどうしようか…とか思いながら恐る恐る紙を開く。
『寝るな』
「………………」
妥当過ぎる言葉に逆にどうすればいいか迷った。
その間、下ばっかりを見ている千歳。
まず俺が言うべき事は一つ。
「言葉を伝える時ぐらい、目見て話せよ」
うつむいた千歳がゆっくりと顔を上げる。
そして目線があった。
「…わかった」
(こういう所は素直なんだよな…)
俺がそう思っていると、先生が入ってきたので前を向く。
その時、千歳は何か言いたそうな顔をしていたが、気付かないフリをした。
俺は、これから考えなければいけない事がある。
勿論、この数学の授業の事ではない。
そう、昨日の告白についてだ。
千歳は知らないだろうが…男としても無視するわけにはいかないからな。
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