ーサイレント少女ー

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「まず、転校生に会う前に、みんなに言わなくてはいけない事があります」 そんな担任の話なんか、みんな最初は半分聞いてるような聞いてないような感じだった。 「この転校生は、ある障害を抱えています。生まれつき声を出す事が出来ないのです。その事だけはみんなに分かって欲しいと思います。だから、この手の話題には十分気をつけてください。そして、みんな仲良くしてあげて下さいね」 この話を聞いた後のクラスは、また違う意味でいつもと空気が違っていた。 こんな空気じゃ逆に入りずらくないか?って事を思っていた時、例の転校生は教室に入ってきた。 『千歳ゆり』 担任が黒板にそう書く。 そして、その後、数分ぐらい転校生の説明をした。 理由やら、出身地やら、いかもろもろ… 担任が話し終わり、転校生は大きくお辞儀をし、担任に指示された席に向う。 その席ってのが…俺の後ろってのは流石に驚いたよ。名前順にする為に、わざわざ席を新しく作ったらしい。 この場合、話しかけるべきなのか、どうしようか迷っている内に転校生"以下千歳さん"は俺の横を通り過ぎ、自分の席に座った。 席に座るのと同時に、周りの女子が千歳さんに話しかける。 話しを聞いてると…まあ目の前だから聞こえてしまうのだが…どうやら「私達がサポートするから心配しなくていいよ!」とか「分からない事があったら聞いてね!」とか話してたな。 俺はというと、ささっと1時間目の授業の準備をしていた。 俺はそうゆうキャラなのだ。
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