1118人が本棚に入れています
本棚に追加
/386ページ
その後千歳さんは紙とペンを出し、何かを書き始めている。そしてそれを俺に差し出した。
『キミは何の部活をしているの?』
紙にはそう書いてあった。
「俺はキミじゃなくて高瀬って言うんだよ。テニス部やってたけど、今は帰宅部かな」
『高瀬くんって言うんだ。何でテニス部止めちゃったの?』
「なんでか?それは…まぁなんとなくだよ。そんな事いいだろ?」
『………じゃあ私も部活入らない』
「なんでそうなるんだよ」
その後、千歳さんの返事を聞けないまま、先生が教室に入ってきて授業が開始される。
ん?時間経過が早すぎるって?当たり前だ。千歳さんは字で言葉を示してるかつ、やたらと書くのが遅かったりするからだ。
こうして授業が始まって、少したった頃、
ツンツン
俺の背中をシャーペンか何かでつつかれた。
「痛っ」そう言いながら振り向くと…千歳さんがまた俺に紙を渡した。
『高瀬くんが部活入ってないって事は、部活に入らなくてもいいって事だよね?だから入らない!』
俺は少し考えて、さっきの話しの続きかと理解した後その紙に文字を書き始める。
『それは、ちょっと俺に依存し過ぎてないか?』
『いいの。もともと部活なんて入る気無かったもん!』
『それならいいんだけど』
すると千歳さんは先生を少しばかり凝視した後に、
『なんかさ、この授業の先生って変な喋り方だよね?』
と書いた。
『この先生は"変人"ってレッテルが貼られてるぐらいだからな』
こんな話(?)をしている内に、あっという間に授業が終わっていた。次は体育だ。俺は体操着を持って着替えのクラスに移る。
最初のコメントを投稿しよう!