1118人が本棚に入れています
本棚に追加
体育は球技の定番、って決め付けはよくないがバスケだった。俺は身に秘めたるスポーツ魂に火がついたのか、かなり熱中して先生の点呼に気づかないでいたらしい。
(やばい…今日はかなり来てる…ここであいつからのパスを貰ってスリーを……「わぁっ!!」
俺がボールを放つ瞬間、誰かの"シューズ"がボールに当たり、そんな非日常な出来事に俺は驚きを隠せないでいた…。
「シューズ?いったい誰のだよ。てかなんでシューズが俺の頭上を通るんだ?」
俺は周りを見渡すと…また千歳さんの姿が目に映る。
千歳さんはなんかご立腹な様子で先生の方を指差している。そして俺の方に向かって走ってくると、
「はやくっ」
とだけを言い、俺の足元に転がっているシューズを履き、みんなの方に戻って行った。
俺もそれを追いかけたが…いったい何が起こったのか、よく分かっていなかった。そして恐らく、俺の周りにいる奴らの呆然な顔を見ると、きっと同じ気持ちなんじゃないのか?とか思った。
そして意外な事がもう1つ。
千歳さんのバスケは…異常なほどに下手だった。
「普通、ゴール下でボールが届かない事ってあるか?」
俺はいつもの飯を食うメンバーに話しかける。
「いや~ドリブルすら出来てないからな~」
と友達A、
「千歳さんってなんか変わってる人だよね」
と友達B、
因みに今更だがこの友達A及び友達Bはそれぞれ、鈴木武(スズキタケシ)と渡辺真太(ワタナベシンタ)だ。
「そう言えば、なんか高瀬くんって千歳さんと仲いいよね」
「そうか?気のせいだと思うが」
渡辺の穏やかな話し方とは対象的に、
「いや、俺は高瀬が朝、千歳さんと話てるのを見たぞ!」
鈴木はそんぐらいの事で眉間にシワを寄せているのだが…
(まったく…話したぐらいでなんだってんだが)
そんなどうでもいい話をしている内に、体育の時間は終わった。
この後は地獄の数学に英語…早く終わって欲しいと思う限りだ…
最初のコメントを投稿しよう!