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それからしばらくの間、探し回ったのだけどなかなか由緒さんが見つからない。
ピっ…ガチャン…
後半戦に備えて自動販売機でオロナミンZを買って、飲んでいると…側を見覚えのある女の子が通り過ぎていった。
ったく、心配させやがって…
ピっ…ガチャン…
俺はもう一本ジュースを買うと、小さな背中を追いかけた。
「…ぐすっ…うぅ…」
「ったく、いつまで泣いてんだよ」
「…ふぇっ?」
彼女は驚いて俺を見る。追いかけてきてると思わなかったのだろう。
「ほら、あんだけ泣いてたんだし…ノド渇いてるだろ」
俺はまだぼ~っとしてる由緒さんにジュースを押し付ける。
「…どうして?」
「どうしてって…泣いてる女の子をほっとけるわけないだろ」
…野郎ならほうっておいたぜ。
「…ありがとう」
そういって、由緒さんは俺を見つめてくる。
「それじゃあ、帰ろうぜ…じゃなくて帰りますか」
口調が素に戻っていたのに気づいて慌てて言い直す。
「ホントにありがとね」
俺はできるだけ優しく微笑んでから歩きだした。
後ろからトタトタと足音が聞こえる。
これでゆっくりできるな。
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