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この寒空の下で何時間も俺の帰りを待っていたところを見るとそれなりの事情があるのだろう。
彼女の寒さで白くなった肌を見ると、このまま立ち話をする気にはなれず、家にあがってもらうことにした。
……………
…………
………
暖房をいれると、手際悪く飲み物の用意をする。
知らない女の子が家にいると思うと、なんだか落ち着かない
「紅茶とコーヒーどっちがいい?」
「えと、紅茶をお願いします」
俺に比べると、まだ女の子のほうが落ち着いているように見える。
さて、どうしたものか…
「粗茶ですが」
「ありがとうございます、いただきます」
女の子はぺこりとお辞儀をすると、そっとカップに口をつけ、中身を流しこんでいく。少しずつ肌に赤みが戻ってきたところをみて俺も腰を降ろした。
「それで、キミの名前は?」
聞きたいことは山ほどあるが、まずは当たり障りのないとこから攻めてみる。
「私は桜井 優花っていいます。よろしくお願いしますね」
そういって、微笑んでくる。
「よ…よろしく。」
笑った顔が可愛くて、声が上擦ってしまっ
最初に見たときに気付いていたが、明かりの下でみて改めて思う。
大きな瞳に長い睫毛、きめ細かい肌。どこを見ても整った顔立ちをしている。
だけど、俺は彼女が美少女だということよりも気になることがあった。
桜井優花さんね、、、
…偶然だよな?
「俺の名前は…」
「桜井 和樹お兄ちゃんですよね!」
俺の言葉を遮って、彼女はのほほ~んと言ったけど…どういうことだ?
「なんで…俺の名前を知ってるんだ?」
「お兄ちゃんの名前も知らない妹なんていないですよ」
そういって優花は笑う。
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