最初から知ってた

4/7
72人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
私が両手を鏡の前でつき、この世の終わりのようにぐったりと。 おまけの後押しでため息をついていたんだから びっくりして躊躇しているのは分かる。 それ以外の理由で、私はその人に舌打ちをした。 もちろん頭の中で。 「お疲れ様です。」 とりあえず姿勢だけは直すと、何でもない顔で答えた。 会いたくない。見たくもない。 それは憎らしいとかじゃなく、羨ましいから。 「うるさいから疲れますよね。」 眉を下げて苦笑いする姿も気に入らない。 明らかに張民と同じ笑い方をして、同じように眉を下げるこの人が。 「…いえ。」 手短に答えて、個室に向かう。 これ以上一緒にいたら、自分を保てなそうだったから。 誰よりも彼らの近くにいて、当然って顔してる。 私は彼女が大嫌い。 いなくなればいいのに。あんなおばさん。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!