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私が両手を鏡の前でつき、この世の終わりのようにぐったりと。
おまけの後押しでため息をついていたんだから
びっくりして躊躇しているのは分かる。
それ以外の理由で、私はその人に舌打ちをした。
もちろん頭の中で。
「お疲れ様です。」
とりあえず姿勢だけは直すと、何でもない顔で答えた。
会いたくない。見たくもない。
それは憎らしいとかじゃなく、羨ましいから。
「うるさいから疲れますよね。」
眉を下げて苦笑いする姿も気に入らない。
明らかに張民と同じ笑い方をして、同じように眉を下げるこの人が。
「…いえ。」
手短に答えて、個室に向かう。
これ以上一緒にいたら、自分を保てなそうだったから。
誰よりも彼らの近くにいて、当然って顔してる。
私は彼女が大嫌い。
いなくなればいいのに。あんなおばさん。
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