『囁く蛇』の本

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『囁く蛇』の本

 日々増える、積もる想いはやがて結晶となる…  想いは結晶となりて残り続ける…  此処は人の思いが本という結晶になり管理されている図書館、人の数ほど想いはあり、ここの本が増えていき読み切ることはない本が増え続ける図書館が此処にある。  増えていく本の整理は毎日の仕事である、此処の図書館は膨大な量の本があるため区間が決められその区間毎に管理者が置かれている。  本を読むには最適な明かりの図書館内を歩く一人の姿、黒髪で灰色のローブに似た服装をした青年が所狭しに並べられている本棚の間を歩きなが名前を呼ぶ 「ヨウ?ヨウはどこだ?」 図書館だから小さな声で、だがこの図書館に人なんて滅多に居ない、図書館にいる人と言ったら管理者ぐらいである。 すると何処からか声がする 『ルーク、人探ししてるなら手伝うから此処出してよ』 声のする方を見ながらルークと呼ばれる青年は優しく微笑みながら 「君はただ日光浴びに出たいだけだろ?大人しくそのままでいなさい」 『うー…』 ルークが見ている先は本棚に納まる本の中で薄く光る本に向かってである ルークは本に向かい手を振りながら目的の人物を探すために歩き出す。 しばらく歩いていると本を読む為の小さなスペースに出るとそこにある木でできた長椅子に横になり本を読むこれまた青年がそこにいた、少し赤みかかった髪色にあちこち髪が撥ねていてルーク同様灰色のローブ姿だ。 ルークは彼を見つけたことで一安心してから近づく 「ヨウ、探しましたよ」 声をかければ本に集中していた彼…ヨウは青い瞳をルークに向けてへらりと笑って読んでいた本を閉じた 「よールーク、何?」 怠そうに話すヨウにルークは少し呆れながらも持ってきた紙をヨウに見せる 「仕事です」 その言葉にヨウは明らかに嫌だと言った顔をしたが渋々紙を受け取り内容を見るとため息一つ零してルークを見る 「……返却期間を守らなかったのか…しかもなんでまたこんな本を借りたかね」 「まぁ此処一応図書館だから…あとこの本は君の区間だからなぁ」 ルークはそう言って苦笑いを浮かべた、ヨウの方はめんどくさそうに髪の毛を掻きながら椅子から起き上がり立つとルークの顔を見て 「じゃあ地上に行くか…ルークも同行だろ?」 「えぇ、本の回収は管理者二人で組むのが原則だから」 そう言って二人は歩き出した。
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