:死

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死んでいた。 わたくしが部屋に入った時には既に。 部屋中が赤で装飾され、 至るものがアンティークの部屋には圧倒的な貫禄の大きな大きな椅子があった。 昔は何処かの国の国王や貴族が使っていた様にも見えるその椅子には、今彼女の首が垂れている。 ひじ掛けの部分に紐が通されていて、首を吊ったようだ。 わたくしとしては、彼女の死は不本意だったのではあるまいかと思うのです。 死んでいた彼女は美しく着飾り、薄い茶色の髪も綺麗に巻かれていた。 きっと彼女は妄想を見すぎたのだ。 長い睫毛が綺麗にカールしている彼女の死に顔は、今まで見た中で1番美しかった。 わたくしはそっと、紐を外し彼女を抱き寄せた。
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