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「羽瑠ちゃんはお母さんに似て優しいね」
『へ?母…ですか?』
思わず聞き返してしまう。
この校長先生とママって何か繋がりがあったのかな?
どうでもいいけどちょっと気になった。
「ん?お母さんに聞いてなかっ――」
トントン
校長先生の言葉を遮りドアをノックする音が響いた。
「すみません、こちらに転校生は」
そう言い開けられたドアから中に入ってきた先生らしき人と目が合った。
「話は終わったから教室に連れてってやってくれ」
「はい。それじゃあ神谷ついて来い」
軽く礼をし出て行く先生について、私も礼をひて部屋を出ようと背を向けた。
「羽瑠ちゃん、ちょっと待ってくれないか」
『はい?』
思いもよらない呼びかけに振り向く。
「羽瑠ちゃん、どうしても嫌だったら女子制服でもいいんだがどうする?私は男装の方が安全だからと思ったんだがな」
『気遣いありがとうございます。私、できるとこまでこれで頑張りたいと思います』
ニコリと笑うと校長先生は安心したように笑った。
「そうか、それじゃあ楽しんで学生生活が送れることを祈るよ」
『はい!』
そして校長室を後にした。
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