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「たまや~」
砂奈は感心してそう言った。
涼子が仕掛けた花火はきっと他の生徒達が驚いているであろう。
そこかしこに隠れながら眺めている生徒達。
勿論その存在に涼子も砂奈もそしてブラエンメンバーも気付いているが・・・
「ねぇ・・・・・舐めてるわけ?」
ポツリと低い声で呟く雪音。
そんな雪音を見て涼子は小さく笑った。
雪音のオーラが黒くなりかけた時、他のブラエンメンバーが雪音を庇うように前に出た。
「ざけんなよ?」
「そうだぞ。怒らせるな」
「そう言ったはずぜよ~」
「死にたいらしいな」
4人は何時もと違う様で雪音の空気が変った事に焦っているようにも見える。
「あらら・・・砂奈~仲直りできないみたいね?」
「仕方ないな~」
「いっちょやるでぇ!!!」
「「「「望むところだ・・・」」」」
緊迫した状況の中その緊張を解くように生徒会の面々が走って来る。
「お前等!何してんだ!?」
「トシ、あの花火はなんだ!?」
近藤と土方が先頭に立ち裏庭へと駆け寄ってくる。
「来てもうたなぁ」
「そうね~じゃぁ帰るわ~」
涼子は砂奈を連れその場を去る。
去る間際に涼子は高杉とすれ違った。
その時、「何でお前があの事を知ってんだぁ?」
高杉は涼子にしか聞こえないように呟く。
「感謝してよね?私はブラエンの事なら何でも知ってる。」
涼子は小さく笑う。
「それでも肝心な部分には触れなかったわ。」
「あぁ、それと彼女を抑える事は賢い選択だったわよ?」
涼子はそう言って高杉の耳元に口を近づけ囁いた。
「私の事が分かるかしら?」と。
高杉は眉を寄せ、怪訝そうな顔で去っていく涼子の後姿を見つめた。
なぜ彼女が知っているのか?
あの3つの質問は一体何のために?
高杉の記憶の中に涼子の姿と重なる少女が影を見せる。
「まさか・・・・な」
高杉は考えた事を振り払い、裏庭を去っていく。
裏庭には既に、生徒会の人間と一般生徒の姿以外はなかった。
花火の事は理事長が穏便に済ませ、その場はそこで終わる。
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