携帯電話

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淡々と過ぎていく時間。 僕はあっという間に古いモノになる。 その時は新しくて ちやほやされて 皆僕を自慢げに見てくれるのに。 高いお金をだして買ってもらった僕は しばらくは大切に大切にしてもらえる。 だけど過ぎていく時間の中で 進化していった仲間達は誇らしげに 並べられている。 僕と同じ誕生日の子なんてもういない。 僕は古いから。 人間に作り上げられた僕らは 人間に壊されていく。 それが運命だから 仕方ないこと。 ある日僕のカラダは壊れてしまって 修理代が高いからと 新しい仲間と交代することになった。 おやすみの時間だ。 まだデータをしっかり守ってるよ? 時間だって間違ってないでしょ? ほら、皆の笑顔ココにあるよ? カードにデータは移された。 新しい仲間の方が見やすいって。 笑顔を残した僕よりも笑顔が大切だから 移せばいいんだって。 僕はからっぽになった。 本体というカラダに少し傷がついただけなのに 機械的に作られた僕の心に少しだけ 少しだけかなしいキモチがわかった…ような気がする。 僕はそれでいいんだ。 でもいつか生まれ変われるのなら 『人間』ってモノになってみたい。
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