第一章。

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「意味分かんねぇ」 こいつは何が言いたいんだ? 俺が優しいわけないし。 「さっきも私を気遣って言ってくれたよね。入学式に遅れないようにって。 そういうところを好きになった。今も好きなの!!」 由里香の目から涙が溢れた。 その涙は頬を伝ってアゴに溜まり大きな粒になってコンクリートに影を落とす。 由里香は綺麗だ。 その涙さえも綺麗に思えてくる。 しかしその美しさは俺の飾りにしかならない。
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