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小出とは、高校で初めて知り合った。
スキーが好きな二人は、すぐに仲良くなった。
彼は、中学の頃にはスキー部がなかったから、高校で部活動としてスキーができることを、喜んでいた。
小出は、冬太が中学の頃から大会に出て、成績を修めていることを羨ましいとも言っていた。
冬太は、そんな小出に対して僅かばかりではあるが、優越感を抱いていた。
いくらスキーが好きだと言っても、大会経験のない小出は、冬太の敵ではないと、そう思っていた。
基礎体力作りの夏が終わり、本格的に練習の始まる冬になったら、経験者として助けてやろうとさえ、思っていた。
けれども、冬太のその思いは、見事なまでに打ち砕かれることになる。
小出は上手かった。冬太が考えた以上に、速かった。
初めから、冬太が助けてやれることなど、何一つとしてなかったのだと、思い知らされた。
初めて小出と一緒にしたゲレンデ練習で、冬太が感じたのは、圧倒的な敗北感。
冬太にとってそれは、ひどい屈辱だった。
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