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 しん、と。  空気まで凍るような夜だった。  澄んだ空には、オリオン座。  見上げて吐いた息は、雲のように白く消えた。  風はない。  それが一層、気温の低さを感じさせる。  凍り付いた雪を踏めば、ザクリと音がする。  その音さえも、凍って夜空に消えていくようだった。  冬太は、道に張った氷を器用に避けて歩く。  時にアスファルト、時に雪の上。  冬太の行く道を照らすのは、寂しい街灯と月明かりのみ。けれども、冬太にはそれで十分だった。  手袋をしているというのに指先が冷えきり、動かしているというのに足先は冷たい。  両手をポケットに突っ込んでみても、あまり変わりはないように思えた。  背丈ほども積もった雪の向こうに、ようやく見慣れた明かりが見えてきた頃。  グジャリ、という音を後頭部に叩きつけられて、冬太は振り向いた。  雪玉を投げられたのだと、見なくてもわかる。
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