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 冬太は、背筋と両手に力を込めて後ろに反った。  座りっぱなしで疲労した体中の筋肉が伸びて、解放感に震える。  教室に残って帰り支度をする生徒は、通常の半分ほどしかいない。  冬太が前方の時計に目をやると、つい今し方まで教壇に立っていた教師が、教材を小脇に抱えて出ていくのが目の端に映った。  補習授業だった。  週に一度行われる小テストで成績の芳しくない者が、その対象だ。  冬太は、この補習授業の常連でこそないものの、かと言って全く無縁というほどでもない。  現に今日、放課後の時間を大幅に拘束されてしまった。  一つ息を吸って、吐く。  そして机の脇にかけていた鞄を取ると、暖房のきいた教室を出た。
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