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教室から一階まで降りると、玄関から入り込む冷気を、否応なしに感じる。
天気は悪くなかったが、冬の弱々しい日差しでは積もった雪にかなうはずもなかった。
その上昼の時間は短く、既に夜の帳が落ち始めていた。
体育館の側を通ると、部活動に勤しむ生徒たちの声が賑やかに近づいてくる。
ボールの弾む音、シューズの擦れる音。
それらを居心地悪く聞きながら、冬太は部室棟へ向かった。
「笹木、どうした。もうバスが戻ってくる頃だぞ」
かけられた声へ向くと、副顧問だった。
「補習受けてました」
悪怯れもせずにそう言って、部室に置いた荷物を取ると、冬太はまた、来た道を戻ろうとする。
「それなら、マネージャーの手伝いをして行きなさい」
けれどもそう引き止められ、冬太は気重げにため息を一つついた。
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