6人が本棚に入れています
本棚に追加
やがて副顧問の言った通りに、部員達を乗せたバスが玄関前に到着した。
中からスキーウェアを着た生徒達が、次々に降りてくる。
スキー場で練習してきた者たちだった。
マネージャーにスキー板を渡した中の一人、部長が冬太の姿を認めた。
手袋を脱ぎながら近付き、声をかける。
「笹木、今日はどうしたんだ。折角のゲレンデ練習だったのに」
冬太は、先程副顧問に返した答えを、もう一度繰り返した。
「しっかりしろよ、たるんでるんじゃないか」
部長の厳しい言葉に、冬太は曖昧で卑屈な笑みを浮かべ、すいませんと返した。
ぞろぞろと練習終わりの後片付けをする部員達の中に、橙を基調としたスキーウェアを見つけて、冬太はふいと顔をそらす。
同級生の小出(コイデ)だった。
最初のコメントを投稿しよう!