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世の中には2種類の人間がいる。「生きている」人間と、「死んでいる」人間だ―――こんな風に始めると、いかなる駄文でも美辞麗句の装飾を施された感じになり、それなりに秀逸だと捉えられるようになる。
まぁ前置きであるこの話は、無作為に広げるつもりはない。自分の身の丈にあった風呂敷じゃないといけない。
とにかく話は変わるけど。
『合格祈願』
そういった受験生のお株であるメッセージが縫われてある紺のマフラーをグルグルに巻いて、僕は小一時間以上街灯の下で佇んでいた。
夕方からチラホラと雪が降り、その影響で肩に積もった新雪を払う。手袋の下から、じんわりと冷たい水気が染み込んできた。
「さみー……」
冷えた空気が殺人的に痛い。誰だよ地球温暖化が深刻だって言った人。全然心配ないよこれ。
そんな僕の愚痴をも無視し、雪はとめどなく降り注ぐ。
そもそもこんなヒドい目にあってるのも、偏に愛する親友のせいである。アイツが「初詣行こうぜ! 受験対策は早いにこしたことない!」と張り切っていたから付き合ってあげたものの、発案者が遅刻なんて……これ如何なものか。
『合格祈願』―――現在高校1年生の僕にとって、ちょっとばかし、いやかなり気が早いような感じの文字が刺繍されているマフラーに顔をうずめ、街灯にもたれかかった。
「遅いな冬木……」
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