序章~覚者の夜明け~

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「あっ、気がつかれましたか?」 少年が再び目を開いたのは、ともかく朝であった。 しかし、何日後の朝なのか、少年は知らない。 今わかることは、 覆いかぶさるような少女が一人、手に濡れた布を持っていること。 少女が目を閉じていること。 どうやら少女は少年の体を拭こうとしていること。 床に少年の衣服が落ちていること。 少し肌寒いこと。 …少年が、全裸であること。 「ってうわあ!?」 少年は慌て布団を引っ被った。 少女はキョトンとしている。 「…どうか、しましたか?」 「た、たた、タンマタンマ!一旦部屋から出てくれ!!」 なおもキョトンとする少女をなんとか説得した少年は、サッと服を着た。 「あの、よろしいでしょうか…?」 扉の向こうから少女の控えめな声がした。 「あ、ああ」 少年はドギマギする心を抑えながら返事をした。 ソロリと少女が部屋に入ってきた。 白いが健康的な肌に茶色がかった黒髪が眩しい。 身長は150前後。華奢な体つきだ。 唇は潤いに満ちている。 とても美しい少女だった。 ただ、その目は閉じられたままであった。 「あ、もう服着たから、目を開けて構わないよ」 「…?」 「だから、目を開けていいよ、と」 「…目を…ですか…?」 「そう」 少年はこの美しい少女が、どのような瞳を持つのか気になった。 しかし 「…目を開けて、どうするのですか?」 話が噛み合わない。 「それは、まあなんだ、見るんだ。僕を」 「…見る?」 「そう。僕を見るんだ」 少年は大袈裟に頷いた。 しかし少女は言うのであった。 「見る…。って、なんですか…?」
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