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僕がまだ今ほど世の中を知らなかった頃....
何でも他人のせいにしたがる僕は大嫌いな両親から逃げるように家を出て、祖父母の家で暮らした事がある。
母方の祖父母の家は、携帯電話も圏外で使えないほどの田舎だった。
学校へ行こうとしなかった僕を、祖父母は叱る事もしないで自由にさせてくれた。
祖父は僕のために母屋から3メートル程離れた所にプレハブの部屋を用意してくれた。
僕はその部屋で日がな一日、本を読んだりゲームをしたり....何かを考えていた。
何かといっても特別すごい事でも悲しい事でもなければ、ましてや楽しい事でもなかった。
勉強とか....
友達とか....
将来さえも....
その頃の僕には全く興味のないものだった。
田んぼから聞こえて来ていた蛙の声が、コオロギや鈴虫のそれに代わる頃には僕の生活は昼夜逆転していた。
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