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着替え終わった俺は、正面玄関の外で待っていた。
もうそろそろかな…
「あ、海くん」
中から出て来たのは、俺が待っていた梨花子。
「暗いし送るよ」
「ありがとう。…いつもごめんね」
梨花子は申し訳なさそうに謝ってくる。
……全然気にしなくていいのに。
体育館のクラブは、曜日ごとに割り振られている。
今日みたいに、女バスの終了時間が遅い時は近くまで送っている。
まぁ、梨花子の事を好きって気づいてからだけど。
こんなに行動している俺だけど、この恋は報われない恋なんだ。
俺が帰りを送り始めた頃に相談された。
「男バスのキャプテンの事が好きなんだけど…」
この言葉を聞いて、俺を男として見てくれてないのが分かった。
その後も続く恋話に耐えるのは、本当に辛い。
梨花子は鈍感で残酷すぎる。
でもこんなに自分の事を話す梨花子は、俺の事を信用してくれてるのか?
そんな発想が生まれて来た。
それだけで充分。
その信用を壊さない。
少し心が満たされた気がした。
それからも男バスのキャプテンの話を何回か聞かされたけど、なんとかやり過ごしてきた。
でも最近はあまり聞かないな。
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