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「やっと終わった~!!」
課長に無理矢理押し付けられた仕事を終らせることが出来たのは終電も無い深夜だった。
車通りも無くタクシーも拾えない。仕方ないので歩いて家に帰ることにした。
(課長なんて嫌いだ……馬鹿野郎ーー!!)
面と向かって言えないから心の中で悪口を叫ぶ。
寒空の下、一人で歩き続ける。そんな俺の耳に女性の叫び声が聞こえた。
「確か……あっちの方から聞こえたよな……?」
怖くて足が震えているが、見過ごすことは出来ないので声の方に静かに歩いていく。
「止めて下さい。離して、離せってば!!」
おいおい……言葉遣いがだんだんと悪くなっていったぞ!?
そんなこと考えてる場合じゃなくて、早く助けてあげないと。
「お巡りさん!! 早く早く、こっちで女性が襲われてるんです!!」
手招きするフリをしながら大袈裟に叫んでみる。
「ヤベッ!? 逃げるぞ!!」
男三人は逃げて行った。臆病な奴らで良かった。殴りかかって来たらどうしようかと……
間違えて病院送りにしてしまいそうだ。そんなことをしたら会社をクビになってしまう。
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