†序章†

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「大丈夫ですか……?」  壁に寄りかかる女性に声をかける。ここで初めて女性を見たが、トップモデルと言われたら納得出来るような美人だ。 「ありがとう…………なんて言うと思ったかしら?」 「えっ?」  彼女は俺の……全世界の男の急所を足蹴りした。 「あがっ!?」  地面に倒れ込む。痛みで息が出来ない。それにブーツかよ……痛み倍増。 「アナタ何かに助けて貰わなくても自分で何とか出来たわ!!」  素敵な捨て台詞を吐いて華麗に去って行った。 「な、何で……こうなるんだ……」  蹲りながら去って行く女性を見ていることしか出来なかった。 ――10分後。  やっと、痛みから解放された俺は早いとこ家に帰ってベトベトする体をシャワーで洗い流したいと考えていた。 「おっ!? これは、さっきの女性のかな?」  俺が見つけたのは小さな鞄だった。襲われた時に投げ飛ばしたのだろうか?  持ち主の身分証明書が入っていれば、連絡して謝って貰えるかも知れない。  まぁ、性格を考えて答えを導き出すと“無理”の二文字しか導き出せなかったが……
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