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「…眠い」
アレンはいつも通り昼をとうに過ぎた頃に目を覚ました。
ここは自由国家アリシアの郊外にある宿屋[自由亭]
「やっと起きたのかい?アレン!」
3年前に父を無くし、アレンは母と二人で[自由亭]を切り盛りしていた。
「…あぁ、おはよぅ」
「おはようじゃないよ、早く支度して手伝いなさい!」
渋々起きだしたアレンは、サッと顔を洗い、服を着替え、いつも通り宿の仕事を手伝い始めた。
「何やってんだろ、俺…」
この3年、同じ日々の繰り返しだった。
昼過ぎに遅く起きだし、宿を手伝い、夜遅くベッドに入る。
実際アレンは宿を継ぐ気は無かった。
「俺はベルメキアで名を上げて、一人前の騎士になる!」
これがアレンの小さい頃からの夢だった。
しかし3年前、父が事故に巻き込まれ帰らぬ人となってから、なし崩しに宿を継がされてしまったのだ。
これではやる気が起きる訳が無い。
「母さん、薪割り終わったよ!」
「ご苦労さん、それじゃ食堂の方手伝っておくれ、」
「ハイハイ…」
単調な毎日に流されながらも、母一人残し出ていく気にもなれなかった。
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