第一話…縦横無尽。俺の舌はまだあるか?

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中国の春秋戦国時代… 楚国の宰相は天下に有名な宝玉、「和氏の壁(かしのへき)」を無くしてしまった。 その宰相は、多数の門人や食客を養っており… その中に張儀という者がいた。 彼の家はひどい貧乏であったため… 皆、張儀が盗んだと噂した。 楚の宰相は、張儀を捕らえ…激しく拷問したが… 彼は『盗んでいない』の一点張りだった。 数百も鞭打たれた彼だったが… どうしても罪を認めぬ為、釈放された。 <実際…彼は盗んではいなかったのだから、自白等も出来る訳が無かったが…> 彼は、身体を包帯で巻かれただけの簡単な治療をうけ… その身体を雨漏りの酷い、粗末な家の中に横たえていた。                    『あんたは変な本ばかり読んで…あちこちでデタラメばかり言っているから…』 横たわる彼の側で、連れの女が言った。                    『だからとうとう、こんな事になったのよ。あんたが真面目に働いていたら…あたしって…ほんと、運がないわ…』               女はそう言い、唸る張儀を見遣り、ため息をついた。
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