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そして数刻後…
伍子諸は一人の男を晃絽の前に連れて来た。
『伍子諸よ…その男が…お前の言う面白い男なのか?』
『はい、晃絽様。この者が先程お話した男です、名は要離と申します』
晃絽はその顔に失望の色を浮かべた。
伍子諸が連れて来た男は…
貧相な顔をした小男で、あの武力絶倫の慶忌を倒せるなどとは…
晃絽にはとても思えなかった。
不興げな晃絽の顔色を見て取った伍子諸は、うやうやしく拝礼した後に口を開いた。
『晃絽様。あの武力絶倫の慶忌を倒すには…武では駄目かと…』
伍子諸は傍らに控える要離に目を遣った。
『かえってこの者のような…晃絽様が失望の色を浮かべる程に非力に見える男の方が…
あの慶忌も隙を見せるかと思いますが…』
名参謀である伍子諸の言葉に…
晃絽は要離を見遣り…しばし考えこんだ。
『ふむ…伍子諸よ。お前がそう言うのであれば…その男にやらせてみよう。
で…要離とやら、おぬし…如何にして慶忌に近づくつもりだ?』
晃絽は伍子諸の傍らにはべる、うだつの上がらぬ小男に問い掛けた。
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