第一話…縦横無尽。俺の舌はまだあるか?

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趙国の宰相となった蘇秦は、かつて、ともに学んだ同門の中でも… 張儀と最も仲の良い学友だった。 張儀はそのよしみを頼り、趙に来た訳であったが… 蘇秦は忙しいのを理由に五ヶ月も、彼を待たせていた。 そしてこの面会の日… 蘇秦からの使いは、張儀にこう言った。                    『我が国の宰相は非常に多忙で…食事の時間しか貴方に割けませぬ。それでよろしければ面会に応ずると…』                 張儀に異論などあるはずも無く… 彼は賈舎人が仕立ててくれた着物をまとい… かつての学友、蘇秦との面会に臨んだ。 しかし… 蘇秦がその日、張儀に供応した食事は… 奴隷が食べるのと変わらぬほど…粗末なものだった。 対して、蘇秦の食卓の上には…宰相と言う官位に見合う、山海の珍味や…贅を凝らした料理が並べられていた。 張儀は最初、我慢していたが…腹が鳴るのを我慢できず… それに、旅館にも飯代がずいぶんと滞っていたため… 彼は恥を忍んで、箸を取った。 その供応された食事…具がほとんど入っていないスープを… 彼は恥辱とともに…一気に飲み下した。
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