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指南役が退出した後、慶忌は要離に顔を向けた。
『要離先生。晃絽は楚の伍子諸らを腹心として、精鋭を選び訓練しておると聞く…
対する我が兵力は少数だ、これを如何にして討てばよい?』
慶忌の問いに、要離は即座に答えた。
『呉の家臣のほとんどは無能で、恐れるには及びませぬ。
彼の国で注意すべきは伍子諸のみです。
しかし…彼も晃絽とはうまくいってはおりませぬ』
『ふむ?晃絽と伍子諸の仲は悪いのか…』
訝しい表情を浮かべる慶忌に、要離は話を続けた。
『私がこのような身体になったのは…晃絽に伍子諸のため、楚を攻めるように進言したからです。これに晃絽は激怒し…私の右手を斬り、妻子を処刑しました…』
要離はうっすらと涙を浮かべ…左手で、斬り落とされた右手をさすった。
『……』
慶忌は無言で要離の話を聞いていた。
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