第零章(上)

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「それじゃ、後でね」 格納庫の前でリカは二人に別れを告げる。 「しっかりサポートするから、アタシの通信はちゃんときいててよね」 ネティが明るく振る舞う。 「作戦の指示は私が出す。心配するな」 エレンの大人びた声が二人に響く。 「だから…絶対に帰ってくるのよ…」 エレンはリカに静かに願うように言った。 「リカ姉…」 さっきまで明るかったネティも不安な顔をする。 「大丈夫…ちゃんと帰ってくるわ…」 三人はまた会うことを約束し抱き合った。 格納庫の出入口から広がる空が、コレからおこる事を暗示させるのか不気味な色に染まっていた。 リカの背中が小さくなる程に二人の不安は大きくなっていった。 カラスの鳴き声が空に響いていた……。
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