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「――…いち、起きて?」
…ん?――…夢?
ぼんやりと開いた目に映るのは綺麗な…でもどこか儚げなたっちゃんの顔。
そっか、俺…たっちゃんと住んでんだ。
「…たっちゃ、ん…?」
寝ぼけ眼でたっちゃんを見つめ、そっと頭に手を乗せる。
「…ん、起きて?」
嬉しそうに微笑みながら頷き逆に頭を撫でるたっちゃん。
不覚にも俺は可愛いなんて思っちゃって――…
無理矢理どきどきするのは寝起きのせいってことにした。
だからほら…
「…ね、ゆういち。
俺、お腹減っちゃった。」
こんなわがままも可愛いわがままってことにして許せる俺は変なのかな?
「…んまい。」
こんな素っ気ない言葉だってたっちゃんが言えば可愛い言葉。
「でしょ?たっちゃんのために頑張ったんだもん(笑)」
「…ばかっ」
ほら、明るい髪から覗く耳が真っ赤だよ?(笑)
たっちゃん…それは照れ隠しって受け取っていいの?
「たっちゃん、俺そろそろ行くね?」
「…え、もう行くの?
何時に帰る?」
「んー…、7時には帰れると思うけど…」
「そっか、…ほら!もー時間じゃん!」
「あ…うん、じゃあ行ってくるね(笑)」
「ん、行ってらっしゃい(笑)」
寂しげに俯いてそう言って玄関まで見送りにきてくれるたっちゃん。
―やばい。
動悸が…つか熱っぽいかも。
たっちゃんといると、いつもの自分が保てない――…
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