第一章

2/41
前へ
/222ページ
次へ
「おーっす!」 朝早く日和(ひより)が歩いて登校していると、後ろから元気な声がした。 「あ!市(いち)くんおはよー!」 日和が振り返るとそこには、自転車に乗った想平(そうへい)が、朝から通りすがる人たちに爽やかな笑顔を振りまいていた。 「水嶋(みずしま)!玄関まで競争だ!」 「えっ?ちょっ…待って!市くん自転車でずるい!」 想平は急いで自転車置場に向かった。その隙を狙って、日和は全速力で走りだした。 「パンツ見えてんぞ!」 「えっ!本当に!?」 後ろから追い上げてくる想平の声に気付き、日和は必死にスカートをおさえた。 「バーカ♪」 想平は日和を追い抜かし、そのままぶっち切りで玄関へ辿り着いた。
/222ページ

最初のコメントを投稿しよう!

180人が本棚に入れています
本棚に追加