第一章

7/41
前へ
/222ページ
次へ
想平に彼女がいたことくらい、別に驚くことではない。むしろいなかったと言う方が驚きである。 何せ文句の付けようがないほどの美少年だからだ。それに加えて性格は優しく、思いやりがある。そして、どんな下らないことにでも一生懸命に取り組む。その姿は誰もを虜にするだろう。 「捨てるの忘れてた」 想平は苦笑いをする。 「捨てることないじゃんか。いくら元カノだって言っても、1度は愛した人なんでしょ?」 「そんなんじゃねえ」 「市くんどうしたの?」 想平が急に真顔になり、うつむいた。日和は深刻そうな雰囲気を察して、自ら教室を出て行った。
/222ページ

最初のコメントを投稿しよう!

180人が本棚に入れています
本棚に追加