【3】盲目の刑事

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混み合ったプラットホームにアナウンスが響く。 『間もなく4番線に通過電車が参ります。危険ですので白線の内側までお下がりください。』 女の子と母親は、一番前に並んで電車を待っていた。 電車のライトが近づく。 母親が、ゆっくり娘の頭を見下ろす。 顔には、何とも言えない喜悦の笑みが漂っていた。 娘の背中へ手を伸ばした時。 『ひゃあ!!』 母親の手を誰かが掴んだ。 その手に引っ張られる様に、母親の体が線路に消える。 『ドサッ。』 『大変だ!!誰か落ちたぞ!』 周りの人々が慌てて暗い線路を覗き込む。 『た・・・助けて!!』 起き上がった母親が、手を伸ばし、ホームへ戻ろうとする。 が、次の瞬間、その顔が恐怖に歪む。 『ひッ!だ…誰だ!く、来るな!・・・おまえは…』 手を伸ばす人々の思いとは逆に、母親は後ずさった。 『ばかやろう!!こっちへ!早く!!』 『ぎゃー!!』 恐怖の絶叫が、母親の口からほと走っていた。 『キキキキキキーーッ!!』 ブレーキ音がけたたましく響く。 『キャーーッ!!!』 無数の叫び声の前を、電車が通り過ぎ、止まった。 女の子はその光景を、悲鳴を上げることもなく、じっと見つめていた。
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