【1】プロローグ

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<二日前> 夕方の6時。 姫城 正明(ひめしろ まさあき)は、自宅マンションのドアを開けた。 『ただいま。』 『おかえり~パパ。』 大好きなパパの帰宅を、7歳の紗夜(さや)が迎える。 『あら、正明さん。早かったのね。』 台所から妻の智代(ともよ)の声がした。 『ああ、今日は何も事件はなく、平和な一日だったよ。』 『丁度よかったわ。今日はビートの散歩がまだなの。少しお願いできない?』 ビートは、智代が溺愛しているミニチュア・ダックスフンドである。 『ああ、いいよ。紗夜、いっしょに行くか?』 『は~い。』 こうして、二人は、夕闇の散歩へと出かけたのである。 マンションの近くには、広い公園があり、おきまりの散歩コースであった。 『おいおいビート、もっとゆっくり行こう。』 紗夜を肩車して歩く正明は、日ごろの運動不足から、すでに呼吸が荒くなっていた。 『全くお前は、気の毒なくらい短い足で、よくもまぁそんなに早く歩けるもんだ。』 『・・・』(ビート) ふてくされた様な表情で、一瞬立ち止まったビート。 『2本じゃなくて、4本あるから、ビートは早いんだよ。』 『はぁ?いや・・・数じゃ…。な…なるほどね。紗夜はお利口さんだね。』 大好きなお父さんに褒められ、大満足であった。 そうして、散歩の帰り道。 公園のゴミ捨て場に差し掛かった時である。
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