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ゴミ捨て場にいたノラ犬が、ビートに気づき、険しく吼えた。
ビートも小さな体いっぱいに吼え返し、みるみる興奮状態に陥いる二匹。
『こら!やめろ。』
紗夜を下ろし、正明はビートを抑えようとした。
その時、極度の興奮状態であったビートは、その正明の腕に思いきり噛み付いてしまったのである。
『ぐぁ!バカ、やめろ!!』
慌てて振りほどき、何とか抑え込んだ正明。
丁度そこへ、初老の男性がが通りかかり、手提げのカバンで、ノラ犬を追い払ってくれた。
『大丈夫ですか?』
正明の右腕から、血が滴り落ちていた。
『はい。すいません。飼い犬に噛まれるとは、情けない。定期摂取は打ってますし、これぐらい大丈夫です。ありがとうございました。』
『とにかく、すぐに手当てをした方がいいです。確か、このマンションですよね?お見かけしたことがあります。私は新しい管理人の内山と言います。』
『そうでしたか。私は18階の姫城です。』
『お嬢ちゃんを・・・ってわけにはいかないでしょうから、その犬は、私が連れて行きましょう。』
震えている紗夜を見て、内山が優しく微笑む。
紗夜は、震えながら歯をかみ締め、睨むようにビートを見つめていた。
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