【1】プロローグ

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ゴミ捨て場にいたノラ犬が、ビートに気づき、険しく吼えた。 ビートも小さな体いっぱいに吼え返し、みるみる興奮状態に陥いる二匹。 『こら!やめろ。』 紗夜を下ろし、正明はビートを抑えようとした。 その時、極度の興奮状態であったビートは、その正明の腕に思いきり噛み付いてしまったのである。 『ぐぁ!バカ、やめろ!!』 慌てて振りほどき、何とか抑え込んだ正明。 丁度そこへ、初老の男性がが通りかかり、手提げのカバンで、ノラ犬を追い払ってくれた。 『大丈夫ですか?』 正明の右腕から、血が滴り落ちていた。 『はい。すいません。飼い犬に噛まれるとは、情けない。定期摂取は打ってますし、これぐらい大丈夫です。ありがとうございました。』 『とにかく、すぐに手当てをした方がいいです。確か、このマンションですよね?お見かけしたことがあります。私は新しい管理人の内山と言います。』 『そうでしたか。私は18階の姫城です。』 『お嬢ちゃんを・・・ってわけにはいかないでしょうから、その犬は、私が連れて行きましょう。』 震えている紗夜を見て、内山が優しく微笑む。 紗夜は、震えながら歯をかみ締め、睨むようにビートを見つめていた。
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