~0-ZERO-~終焉ノ始マリ

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鳥のさえずりが響き渡り 鹿やリスが走り回るネスロブの森 町の裏に流れる川からの水が生活には欠かせない物であった 町に住むシルフィーナは今日も森の中で動物達と戯れていた シルフィーナ「今日も天気が良くて気持ちいいね」 勿論、シルフィーナの問いかけに動物達が答える訳ではないが 野良猫の一匹が答えるように擦り寄ってきた シルフィーナはその猫の頭を撫でる 平和の構図であった 勿論、町ではシルフィーナは評判の良い娘であった お世辞にも裕福な家庭というわけでは無いが 仲の良い両親に育てられ、笑顔の絶えない家であった 交友関係も広く 役人から年寄りまでシルフィーナにはとても良くしてくれていた シルフィーナの元気な姿はネスロブの看板でもあった。 シルフィーナ「さてと…今日はもう戻ろうかな…」 シルフィーナは芝生から立ち上がるとゆっくりとその場から離れた ここから町までは歩いて数分の場所である 耳を澄ませば葉擦れの音が海を連想させた その中に聞きなれない音がした 誰かが走ってくるような足音だ 「シルフィーナぁっ!!」 その声には聞き覚えがある 勿論その背格好からして幼馴染のラクスだ ラクス「やっぱりここか」 シルフィーナ「どうしたのラクス?」 ラクス「いや、ウチに行ったらここだろうって小母さんが」 シルフィーナ「うふふっ」 二人でゆっくりと木漏れ日の中を歩く 時たま撫でる風がとても心地良かった。 ザッザッザッザッザ!! ラクス「ん?」 ラクスが何かに気づき立ち止まる こんな辺境の町に軍靴の足音は異様な雑音だ。 ラクス「なんてこった…」 ラクスが落胆の声を発した 目にした数はおよそ単純には数えられない兵士の姿 迂闊だった 戦渦はすぐそこまで押し寄せていたのだ 最近ではここより離れた草原の町ブッセンも敵国からの襲撃で壊滅状態になったと聞いた 今では軍隊の中継基地と化していた ラクスは気がついた ここは背面を山に覆われ 前面には領主であるブルックス国王が治めるブラストリア城とその城下町がある ここを拠点とすればブッセンとネスロブから挟み込む形を取れるのだ。 シルフィーナ「大変…はやく知らせなきゃ!」 ラクス「待てっ シルフィーナ!!」 突然何かに取り憑かれたかの様に走り出すシルフィーナ
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