42人が本棚に入れています
本棚に追加
ラクス「動いたら見つかるぞ!」
シルフィーナ「でも町の皆が!」
兵士「そこに誰かいるな!!」
兵士「隠密行動中だぞ、知られたら不味い、殺せ!!」
ラクス「うわっ」
切磋にシルフィーナの手を掴みラクスは走り出した
勿論町の方へは兵士で溢れていた為森の奥へと逃げるしかなかった
地の利に明るいとは言えシルフィーナの手を引いて走り続けることは困難を極めた
足がもつれ
何度も転びそうになった
シルフィーナ「はぁっ…はぁっ…キャッ!」
ラクス「シルフィーナぁ!!!」
シルフィーナ「ラクス…逃げてぇ!!」
兵士「悪いが忠義の為だ…」
転んだシルフィーナの背中を兵士の持つ剣が深々と貫いた
シルフィーナ「っ!!!!!」
胸を貫き
その刃は大地に突き刺さっていた
唇からは穢れない鮮血が滴り
シルフィーナはラクスに笑みを送っていた
ラクス「シ…シルフィーナぁ! あぁあぁぁぁッ…」
兵士「…すまない・・・これも我祖国の為だ、少年よ、もうすぐこの戦争も終わる、その時生きていれば俺を殺しにくればいい、俺の名はリューク、偉大なるクレスメンス聖王国の騎士だ」
ラクス「う…うぅ・・・うっ…うぉおぉおおぉっ!!!!」
ラクスの右腕がリュークと名乗る男の左頬を捉える
刹那
その右腕を弾き返す
リューク「今はまだやらせるわけにはいかない」
クルリと背を向けリュークと名乗る男はその場を後にした
すぐさま町の方からは火柱が立ち上がっていた
ラクス「ああぁぁっ…町が…皆が…シルフィーナっ!!」
シルフィーナ「ゴメンね、逃げられなかったね…ゴホッ!ゴホッ」
ラクス「喋るな…シルフィーナ…」
シルフィーナは首をなんとか横に振る
シルフィーナ「ラクス…これはきっと神様が私に…ゴホッ…与えた運命なんだよ」
咳きをする度に喉に溜まった血が流れ出る
それと同時に服に広がる染みも同じく広がり
吸収しきれなくなった分がラクスの手に滴り落ちる
シルフィーナの焦点が定まらずラクスの顔を捜し始めた
もう長くない。
息も絶え絶えにシルフィーナは続ける
シルフィーナ「ラク…ス…皆を…守って…ごめ…ん…ね…先に行って…待ってる…ね」
ラクス「シルフィーナぁああぁあぁぁぁあぁっ!!!!!」
最初のコメントを投稿しよう!