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俺は自分の顔に白い布が被せられるのを見届けた。
今だに信じられなかった。俺が死んだなんて…
だから俺はただ泣きじゃくる美雪を見つめていた。
いろいろな感情が頭を過ぎる。
俺の恋は?俺の人生は?
まだたった16年しか生きてないのに……
理不尽過ぎるだろ…
美雪は助かってよかった。だけど哀しくなって目頭が熱くなっていく。
もう美雪には話しかけることも、触れることもできないなんてな…
生殺しじゃないか……ハハッ……
そうやっていろいろと考えていると、廊下からドタバタと足音が聞こえてきて、ドアが勢いよく開いた。
そこにいたのは顔面蒼白な俺の両親だった。
ベッドの俺の姿をみるとすぐに二人は俺に駆け寄り、白い布を震えながらめくった。
母さんはその瞬間泣き崩れ、親父は泣きながら母さんを抱きしめた。
もう既にこの世にいない息子の名前を口にしながら……
「悠羅……偉いな…美雪ちゃんを救って……だけど……父さんは……お前もいないと……ダメだと思うぞ………絶対認めないからな…」
親父…
「うぅ…ゆう…ら……悠羅ぁ……どうして?どうしてぇ?私は…私はぁ……」
美雪…
「…グス……悠羅は美雪ちゃんを助けたかったんだね……あなたは馬鹿だったけど私の自慢の息子よ……」
母さん…
俺の顔はすでに涙でグチャグチャになっていた。
どうしてだろう。こんなにも近くにいるのに触れられない。俺はここにいるといくら叫んでも伝わらない。
それが死ぬ程辛く、哀しかった。
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