修羅

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今日の晩飯は、巻き寿司×4・いなり寿司×4が入ったコンビニ弁当だった。 途中まで「巻き寿司→いなり寿司→巻き寿司→いなり寿司→巻き寿司→いなり寿司」っていう順に食ってたんだけど、突然「いなり寿司→巻き寿司」で締めくくりたくなった。 でも、そうすると絶対に「いなり寿司→いなり寿司」という工程が必要になる。本来ならば「巻き寿司→いなり寿司→巻き寿司(END)」という流れが自然なんだけど、最初に「巻き寿司→いなり寿司」で始めてしまったからそうもいかない。 俺的には「いなり寿司→いなり寿司」という流れは絶対に許せない。俺のプライドが許さない。酢豚に入っているパイナップルくらい許せない。必要のない場面でフルーティさをアピールするんじゃねぇ!! とにかく許せない。どうすればこの「いなり→いなり地獄」から抜け出せるか考えた。 考えた。 でも理論上不可能な事だ。それが宇宙の理なのだ。考えても考えても考えても答えは出なかった。 そんな俺の視界にふと、ある物が目に止まった。 ・・・ガリ。 そう、そこにはガリがあった。 まさにそれは救世主と呼ぶに相応しかった。俺は飛び上がってしまうような衝撃を受けた。 ここに・・・俺の目の前に宇宙の理を覆す物が存在している。 半ば興奮気味にガリを口に運んだ。 口内いっぱいにガリの風味が広がる。 これでさっき食べた いなり寿司の味がリセットされた。 そして俺は・・・・・・いなり寿司を食べた!!!・・・さっきまでのモヤモヤしたものが解けた気がした。その勢いに乗って最後の巻き寿司もたべた。 「巻き寿司→いなり寿司→巻き寿司→いなり寿司→巻き寿司→いなり寿司→ガリ→いなり寿司→巻き寿司」・・・。 誰がこんなエンディングを予想できただろう。 ふと気付くと、目には涙が溜まっていた。俺はこの日のこの出来事を一生忘れないだろう。
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