†吟遊詩人の章†

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「ここは、どこだ……?」  藍色の空には美しい銀盆の月が浮かぶ。  しかしその望月は、普段俺が見るよりも確実に5倍以上は大きい。  それにも関わらず、乙女が水瓶に水を注いでいるような、蟹のような影模様は見えない。  白銀の光球のように滑らかな月はただ青白い光を放ち、星も無いのに、その明るさで辺りは輝いて見える。  そして夜だというのに、俺の足元には花々が色鮮やかに咲き誇っていた。
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