507人が本棚に入れています
本棚に追加
/95ページ
―Φ―
楽しげに〝藤堂秋人〟くんのことを話し合っている友人達の中、ボクの瞳は固定されたように一人の少年を映し出していた。
何処となく中性的な顔立ちに母性本能を擽る童顔で、少し垂れた瞳は小動物そのもの。花弁のような可愛い唇にちんまりとした鼻梁は女性に間違われるほどに可愛い少年。
ボクより少し大きい160ほどの身長に、痩せている訳でもなく太っている訳でもない、中肉中背と言う言葉がぴったりの少年。
襟首辺りで切り揃えられた、闇を体現したかのような独特の真っ黒な髪。きっと触ったらさらさらで、良い匂いとかがする少年。……いや、まあ予想だけども。
「――愛流はどう思う?」
「うん、恰好良いと思う」
「だよねー! 秋人くん!」
「……へ?」
あっ、完全に自分の世界に浸っていたら不用意な発言を。
最初のコメントを投稿しよう!