第一章:ターゲットを探せっ!

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  「愛流ー、どうかした?」 「う、ううん、何でも」  確かに〝藤堂秋人〟くんは恰好良いと思う。いや、隙がないほど完璧なまでに恰好良いと言った方が正しいのだろうか。  眉目秀麗は兎も角、頭脳明晰、スポーツ万能、更には基礎魔力量も高いと来たものだ。そして何より自分の力に驕りを持たずに何事にも気取らない姿勢は、男女共々加えて教師からさえも高い評価を得ている。  彼を見て落ちない女の子はまずいないと言っても過言ではないだろう。事実、ボクも以前までは彼に恋する乙女の一人であり、その恋で魔力を生成していた一人であるのだから。  けど、今は違う。  ボクが目蓋を閉じれば、暗闇に浮かび上がって来るのは純粋に微笑む一人の少年。ボクは今、〝藤堂秋人〟くんではなく、その目の前にいる〝曽根川ヒカル〟くんに恋をしてしまったのだから。
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