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―Φ―
朗らかに笑う彼女の名前は天見愛流(あまみあいる)。学年のアイドル的存在で有名な彼女は男女隔てなく友達が多く、この学園にファンクラブなるものが存在すると人伝に噂程度で聞いたことがある。
確かに、ファンクラブが存在していても可笑しくはないと僕も思う。
病的なまでとは言わないが、きめ細かく血色のよい整った白皙の肌。ぱっちりくりくりと動く大きな碧色の瞳に、上品に微笑む口元。そして少し茶色がかった髪は襟辺りで揃えられているショートボブで、触角のような可愛らしいアホ毛がちょびんと飛び出ている。
「……なあ、今あの娘、俺達の方から顔を逸らさなかったか?」
「え……、秋人くんの気の所為じゃないかな?」
僕が見ていた限り、そんなことはなかったと思う。僕がそう言うと秋人くんは首を捻りながら難しい顔をしていた。
大体、天見さんのような可愛い娘が僕達を見るはずが……あ、秋人くんを見ていた可能性が多分にあることを忘れていたか。
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