第一章:ターゲットを探せっ!

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   秋人くんの視線の先。そこには見覚えのある――僕のクラスの女子達が仲良くお弁当をつついている光景だった。  しかし、僕には秋人くんが思わず声を漏らしてしまうほどの変わったものは何も見当たらない。強いて言うなら、今日はその輪の中に〝天見さん〟がいることぐらいだろうか。  秋人くんと毎日お昼を伴にすると分かるのだが、何時も僕達の――主に秋人くんの視界に必ずいる人というのがいる。  気になる人の視界に常にいて、必ず視界にいるのが自然になる、という恋の必勝戦法らしいのだが、今一僕にはどの程度の効力が得られるのか分からないのだけれども。  それはさて置き、その見覚えのある何時ものメンバーの中に……あ、確かに効力はあるのかも。そこに常にいるメンバーに紛れ、何時もはいない天見さんが凄い浮いて見えるのだから。 「まただ」  そんなことを考えていた僕を余所に、秋人くんが小さくそんなことを呟いた。
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