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そんな疑問を抱えながら、ボクは爆発音を頼りに岩場を掻き分け進んで行く。段々と焦げ臭い匂いが鼻をつき、モクモクと立ち上る煙が目前まで近付いて来た。
そして気配を頼りに近場の岩場で立ち止まり、そーっと声のした方を覗いて見るボクの双眸には――
「大いなる雷の精霊よ、そが力を我に示し彼の者の肢体を神聖なる雷光で貫け、ヴォルテックス!!」
「……爆ぜろ、ファルフレイム」
――二人の少年が相対している様子が映し出されていた。
一人は良く知っている少年――〝藤堂秋人〟くん。彼は長々と詠唱を唄った少年よりも、ワンテンポ遅れて詠唱破棄をした魔法を発現した。
彼の手のひらから発現した火属性の魔法は、火球を形成し相対する少年に向かって疾走する。対して詠唱を唄った少年の魔法は、翳された手のひらから眩い発光を放つと瞬く間に収束した。
・・・・・・
そう、収束しただけだった。
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