第一章:ターゲットを探せっ!

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  「あ……っ!」  刹那、思わずボクは呻き声を漏らした。  ボクの目の前で、藤堂秋人くんの放っていた火球が少年の足下まで走り、爆ぜる。直径十センチほどだった火球は着弾後、元のサイズからは想像し難いほどの大規模な爆発を起こした。  頭では助けに行かなきゃ、と思っているのに意志とは裏腹に身体が言うことをきかない。  ボクは力なくその場にへたり込んだ。あれほどの規模の爆発を、モロに生身の身体に食らったらただでは済まない。良くて重度の火傷、下手をしたら〝死〟。  辺りを強い風が席巻する。ボクの後ろから彼の方へと流れていく追い風……。  ……あれ? 追い風?  ボクが違和感を感じ始めた頃、もうもうと立ち込めていた煙が晴れ、吹いていた風も止む。  そしてそこには、まったくの無傷の状態で立ち尽くす先程の少年がいた。
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