507人が本棚に入れています
本棚に追加
「で、お前どうすんだよ?」
ジトッと、まるで今にも擬音が飛び出しそうな鋭い瞳で睨め付ける少年が僕の目前にいた。
今は授業と授業の合間のちょっとした休憩時間なのだが、僕の目の前にいる少年は僕に休息を与えるつもりはないらしい。彼の言いたいことは大方分かるのだけれど、敢えて分からない振りをしてみたり。
「えーと、……何が?」
「何が? じゃねーよ」
目の前の少年――藤堂秋人(とうどうあきと)は呆れたように手のひらを自分の顔に宛てがった。秋人くんは僕の学友であり親友にあたる人物らしい。
僕こと曽根川ひかる(そねがわひかる)も又、そんな秋人くんを学友であり親友だと思っている。
何故だかは分からないが、秋人くんは僕のことを〝ライバル〟だと思っているらしい。そんなことはない、願うことさえ烏滸がましいことであるというのに。
最初のコメントを投稿しよう!